著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
筑波小図工部のとっておき題材を一挙公開!
筑波大学附属小学校図画工作科仲嶺 盛之
2017/4/26 掲載

仲嶺 盛之なかみね もりゆき

沖縄県出身。
琉球大学卒業。
平成17年 筑波大学附属小学校赴任。
見ることは考えることです。シンプルな授業の条件設定の中で、鑑賞の場を大切にすることで子供たちのアイデアをより引き出し、互いを高め合う授業を目指しています。子供たちが、形と色などの造形要素を根拠に議論し合う姿がたまらなく好きです。この本では、担任の先生方が取り組みやすい、紙を主材料とした題材を主に紹介させて頂きました。

―ズバリ、筑波大学附属小学校・仲嶺先生の授業の特徴を教えてください。

 子供たちの活動がダイナミックに広がる授業。子供たちにとって新しい材料や体験を促す授業も大事です。しかし例えば画用紙や上質紙等、子供たちがこれまで使い慣れた材料の見方を変える。使い方の発想を変える。そのような視点も題材づくりが必要と考えています。
 

―本書では、手軽な材料、簡単な準備で取り組める題材が紹介されています。その中で子供たちが夢中になる題材づくりのコツを教えてください。

 その題材のねらいや本質を教師が伝えるのではなく、授業の導入をきっかけに子供たちが関わり合いの中で発見を繰り返す。そのような授業展開のイメージを持っています。

―低・中・高学年で図工の授業びらきにおすすめの題材を教えてください。

 低・中学年では「折り曲げた紙からつくる絵」(40ページ)がおススメかと思います。小さな紙でも折り曲げて描くことで次々と可能性を発見する楽しみが増していきます。
 高学年では「色の表情」(112ページ)はいかがでしょうか。特に導入の真っ白の紙を絵と見る解釈は、絵そのものが実は頭の中で創るもの。形と色から考える鑑賞の導入として考えてあります。

―学習指導要領の改訂案が公表されました。図画工作の授業づくりで大きく変わるところはありますか。

 現在まで様々な立場の先生方のお話を鑑みると、子供たちの健やかな創造性を育む視点に大きな変容はないかと思います。例えば子供たちに培う三つの資質・能力では、これまでの図画工作科でねらっている力を再構成された形で提示されています。これまでよりも資質・能力としては知識・技能.そして思考する力などが若干前面に打ち出された形になっていると感じます。

―最後に図画工作の授業づくりに取り組む全国の先生方に、メッセージをお願いします!

 現行の学習指導要領も図画工作科は資質・能力を育む視点で書かれています。思考力・判断力・表現力、習得活用探求といったキーワードは継続。言語活動などの手段は引き続き奨励されています。今行っている題材の取り組みを、もう一度子供たちの姿から見直す2020年までの2年余りになるかと思います。子供たちの健やかな成長のために、共に励みたいものです。

(構成:広川)
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